本日(4/16)の最高裁判決の雑感:基準は同じでも、あてはめは慎重に。

弁護士田村裕一郎です。

本日、「事業場外労働のみなし労働時間制に関する最高裁判決」(PDF)が出ました(PDFはここから取得できます)

内容をざっと読んだところの感想は、次のとおりです。

⑴ 基準:「労働時間を算定し難いとき」は、従前と同じ

すなわち、本日の最高裁判決での基準は、いわゆる阪急トラベルサポート(第2)事件の最高裁判決における基準と、おおむね同じです。

最高裁の考える基準(概要)
「業務の性質、内容やその遂行の態様、状況等、業務に関する指示及び報告の方法、内容やその実施の態様、状況等を考慮し、使用者において、被用者の事業場外における勤務の状況を具体的に把握することが困難であったか」

⑵ あてはめ:従前と異なる

もっとも、いわゆる阪急トラベルサポート(第2)事件の最高裁判決と異なり、今回、最高裁判決では、結論において、「使用者敗訴」とした原審の判決を(上記論点につき)破棄しています。

そのため、

❶いわゆる阪急トラベルサポート(第2)事件の最高裁判決:使用者:敗訴

➋今回の最高裁判決:使用者:敗訴ではない

の比較により、

最高裁の考える「事業場外みなしの適用の有効/無効の分水嶺」が、ある程度見えてきたといえます。

⑶ 企業の対応策

企業として気になるのは、

㋐外勤の社員(旅行添乗員、技能実習の指導員、外回り営業者、MR、出張者など)

㋑自宅テレワーク社員

への対応だと思います。

上記㋐については、上記❶と➋の判決により、上述のとおり、ある程度、使用者にとって、「事業場外みなし」の適用の可否についての分水嶺が見えてきました(但し、個別具体的な事情を勘案すべき)。

ただ、上記㋑については、林道晴裁判官の補足意見にあるように、具体的ケースにより慎重な判断が求められるように思います。

なお、本日の最高裁判決についての解説をセミナーで行いますので、ぜひ、ご参加下さい。

申込は、こちらです。

田村裕一郎

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