本日(4/26)の最高裁判決の雑感:使用者は、職種限定合意の意味を再考すべき。

弁護士田村裕一郎です。

本日、「職種限定合意がある場合の配転命令に関する最高裁判決」(PDF)が出ました(PDFはここから取得できます)

当職は、日経新聞にコメントしましたので、是非、ご覧下さい。

紙幅の関係上、コメントに制限がありましたので、以下、もう少し詳しく当職の感想を記載します。

⑴ 職種限定合意がある場合、使用者には、原則として、配転命令権はない

本日の最高裁判決を前提とすると、職種限定合意がある場合、使用者としては、配転命令権を有しないことになります。もっとも、個別同意があれば、配転できます。

⑵ 使用者の対応策

そのため、使用者としては、例えば、職種限定合意がある場合に、当該職種がなくなってしまったような場合などは、

❶労働者本人の同意を得て、配転する

➋同意が得られない場合、解雇を検討する

となりそうです。

もっとも、上記❷の解雇については、「同意が得られないこと」だけで解雇が有効になるとは限りません。同意取得に向けた使用者の提案内容や説明の経緯などについて丁寧な対応が求められます。

そうすると、そもそも論として、使用者としては、

❸雇用契約上の職種限定合意の意味について、再検討すべきといえます(具体的には、㋐単純な職種限定合意とするのか、それとも、㋑当該職種がなくなった場合などに例外的に使用者が配転命令権を有するといった留保付きの職種限定合意とするのか、など。)。この点については、あまり議論されていない論点ですが、今後、こういった㋑の類型の職種限定合意が増えてくるかもしれません。いずれにせよ、㋐と㋑のいずれが自社にふさわしいのか、を募集段階から考えるべきといえます。

なお、本日の最高裁判決についての解説をセミナーで行いますので、ぜひ、ご参加下さい。

申込は、こちらです。

田村裕一郎

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

コメント

コメントする

目次